株式会社大気社は、「産業空調」「ビル空調」「塗装プラント」の三つの領域を軸に事業を展開する設備工事事業者です。1913年に設立した同社は、エネルギー、空気、水システムに関する専門知識と革新的なエンジニアリングを通じて、持続可能な社会に貢献するという長期的なビジョンのもとグローバルでビジネスを展開。精密空調、ハイテク製品づくりを支えるクリーンルームにおいても豊富な実績を有し、自動車塗装プラントも世界トップクラスの売上高を誇り、ビル空調も含め海外にも広く進出してきました。また、空調技術を生かした植物工場や、塗装プラントに関連したコンベア事業、産業ロボットシステムなど、関連分野の事業にも取り組んでいます。
大気社の塗装システム事業部は、主に自動車塗装プラントの設計・施工を手掛けており、日本メーカーだけでなく、欧米メーカーを中心とする世界各国の自動車メーカーに納入されています。
課題
自動車塗装は、塗装不良をなくす洗浄などの前処理、下塗り・中塗り・上塗りといった何段階もの塗装、そして塗膜として定着させる乾燥炉など、何段階も塗装工程を繰り返す必要があります。100mを超える何段階もの工程を、自動車ボデーがコンベアで運ばれながら進みます。
大気社の塗装システム事業部では、各工程の設備や工場の建設設備の設計を2D CADで行っています。また、他の建設会社と連携し、3D図面を用いて設備を建設する機会が多くあります。
課題1:ネットワークライセンスの柔軟性とコスト削減
既存のCADソフトのライセンスコストが高価になっていたことから、エンジニアリング設計チームのメンバー全員にライセンスを配れずにいました。また既存CADソフトはネットワークライセンスに対応していないなど、柔軟性に欠けていました。
課題2:DWGベースの2D/3D CADの高度な相互運用性
既存CADソフトは、3DのDWGフォーマットに対応していなかったため、データ変換作業に手間がかかっていました。そこで塗装システム事業部は、業界最高水準の信頼性を持つ相互運用可能な2D/3D CADを求めました。
課題その3:直感的で使い慣れたCADツール
社内の設計技術者や若手社員がすぐに馴染めるよう、直感的に使い慣れたツールやコマンドを持つCADソフトを要望しました。
解決
この課題を解決するため、塗装システム事業部 技術統括部 設計管理部は、BricsCADをはじめ、既存のCADソフトや競合他社のCADソフトとの比較検討を開始しました。
検証には、設計管理部や他事業所の社員が参加しました。検討のきっかけを作った設計管理部 設計管理課の井上亮太氏は、BricsCADを選定した理由について次のように説明します。
安定性と2D/3D DWGの互換性
「BricsCADで注目したのは、DWG形式の対応、互換性と汎用性の高さです。実際、BricsCAD は競合他社に負けない高い安定性と操作性を備えており、2Dだけでなく3Dでも使えるという点が有力な候補となりました」と井上氏は当時を振り返ります。
塗装システム事業部 設計開発統括部 設計管理部 設計管理課 井上 亮太氏
ネットワークCADライセンスの柔軟性
また、井上氏は、BricsCADが永久ライセンスとネットワークライセンスを選択できることの価値についても言及しています。
「競合製品は永久ライセンスとネットワークライセンスの廃止により導入が難しくなっています。ですが、BricsCADは両方に対応しており、ライセンスコストも低く抑えられています」
オープンかつ高いカスタマイズ性
設計管理課の金本行央氏は、既存のCADソリューションと比較した際の、BricsCADのカスタマイズ性について次のように説明します。
「既存のCADとの比較では、カスタマイズ性の高さを重視しました。製品が設備や建物の鉄骨に干渉しないように、コンベアの軌跡図を描くことが求められています。
塗装システム事業部 技術統括部 設計管理部 設計管理課 金本 行央氏
既存のCADではGUIマクロで実現していましたが、BricsCADではカスタマイズによって独自のGUIメニューを作成できることがわかり、BricsCADを採用する決め手のひとつになりました」と、金本氏は説明します。
結果
卓越したコスト・パフォーマンスとオペレーション・パフォーマンス
こうした検討によってBricsCADの能力が実証され、塗装システム事業部はBricsCADを導入することになりました。また、新しいライセンスコストが以前のCADシステムの5分の1以下となったことで、全従業員に十分なライセンスを配布できるようになりました。
塗装システム事業部 技術統括部 設計管理部長の石井一生氏は、ネットワークライセンスを活用したBricsCADへの期待について、次のように説明します。
「BricsCADはネットワークライセンスに対応しており、ライセンス数も十分に確保できているので、社内の設計関連における共通プラットフォームとして活用していく方針です。以前は、各拠点でCADオペレーションが大きく分断されていました。ですが、別々のツールでは効率が悪いので、BricsCADを共通プラットフォームとして利用することで、この状況を改善することを期待しています」
塗装システム事業部 技術統括部 設計管理部長 石井 一生氏
CADデザインエンジニアの才能を生かす
「既存の2次元CADから移行したかったのですが、オペレーターの高齢化などで難しいと感じ、なかなか乗り換えの機会がありませんでした。そんな折、部下を通じてBricsCADのことを知り、検討を始めました。結果、とても満足しています」(石井氏)
将来の人材育成のための使いやすさとトレーニングの利点について、石井氏は
「BricsCADは直感的で馴染みやすいツールです。最近多くの技術学校で使われているCADソフトとの互換性も高く、同様に使いやすいことを確認しているので、新入社員のCAD教育もしやすいと思います」と語ります。
また、石井氏は、BricsCADが常に革新的なサービスを提供し、自社サービスをサポートしてくれるという信頼感についても言及します。
「セミナーなどで、BricsCADは変化し続ける製品であることを知り、大きな可能性を秘めたCADソフトであると感じています。これからも新しい機能が実装され、変化していくのでしょう」
複数のデザインワークフローに対応したカスタマイズが可能
コンベア自動作図を含むシステムのカスタマイズは、外部ベンダーの協力を得てほぼ完了しました。本格的な社内導入はカスタマイズ部分の検証を経てからとなりますが、設計管理部ではさらなる開発を検討しています。
設計管理課長の寺坂正三氏は、BricsCADのソリューションを関連会社で展開していきたいと言います。
「カスタマイズが完了したら、可能な限り移行していくつもりです。例えば、関連会社にもBricsCADをDWG対応CADに移行してもらう予定です。移行後は、既存のCADで作成したデータをBricsCADに取り込んで参照し、新規の図面作成については、はじめからBricsCADを利用していきます」
塗装システム事業部 技術統括部 設計管理部 設計管理課長 寺坂 正三氏
ビジネス全体の付加価値を高める
寺坂氏は、社内や関連会社にBricsCADを展開することで、より大きな付加価値を提供できると期待しています。
「社内や関連会社にBricsCADの展開を進めていく中で、カスタマイズされた独自のメニューや多彩な3D機能を利用できる点などで、BricsCADならではの付加価値を示していきたいと考えています」
Tokyo, Japan
HVAC and Paint Finishing Systems
Taikisha Ltd.
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