BricsCADは多くのユーザーに使われている安定したCADソフトですが、パソコンのトラブルなどで図面が失われる可能性はゼロではありません。
そこで役立つのが、BricsCADの自動バックアップ機能です。この機能を使うと、作業中に自動的に図面のバックアップが作成され、万が一の場合でも復旧できる可能性が高まります。
この記事では、BricsCADのバックアップ機能の仕組みと、いざという時の復旧方法をわかりやすく解説します。
BricsCADの図面バックアップファイルは2種類! .BAKファイルと.SV$ファイル
"BricsCADでは、図面を安全に保護するために、2種類のバックアップファイルが自動で作成されます。
.BAKファイル
・保存時に作成されるバックアップファイルです。
・前回保存した状態が保存されています。
・手動保存をした時の状態に戻したい場合に役立ちます。.SV$ファイル
・作業中に自動保存される一時的なバックアップファイルです。
・一定間隔で更新されます。(ファイルの状況に合わせて作成されるので必ず作成されるわけではありません)
・図面ファイルが正常に閉じられた際には削除されます。
復旧する際は、状況に応じてどちらかのファイルを使用します。
前回保存した状態に戻したい場合: .BAKファイル
作業中の状態に戻したい場合: .SV$ファイル"
異常終了時の復旧方法(V23以降)
BricsCAD V23からは、図面リカバリーマネージャーという便利な機能が追加されました。
BricsCADが異常終了した場合、次回起動時にこのマネージャーが自動で起動し、復元できる図面の一覧が表示されます。
この一覧から、直接図面を開いたり、バックアップファイルを保存したりすることができます。
bakファイルを開こうとしているところ
従来のようにエクスプローラでバックアップファイルをいちいち探す必要がなくなったのは、本当に大きな進歩です。
図面リカバリーマネージャーのパネルの表示・非表示
ちなみに、この便利なパネルは、以下のコマンドで表示・非表示を切り替えることができます。
DRAWINGRECOVERY: パネルを表示
DRAWINGRECOVERYHIDE: パネルを非表示
これらのコマンドを覚えておけば、必要に応じてパネルの表示状態をコントロールできます。
BricsCAD V23で新たに追加された図面リカバリーマネージャーは、異常終了時の復旧作業を大幅に簡素化しました。しかし、バックアップファイルの保存先や正常終了時の復旧方法といった基本的な部分については、V22から変更はありません。
異常終了時の復旧方法(~V22)
BricsCADの異常終了時の復旧について、より詳しく解説します
.SV$ファイルの確認と保存先
BricsCADが異常終了した場合、最初に確認すべきは.SV$ファイルの存在です。 このファイルは、作業中の図面データを一定間隔で自動保存しており、復旧の際に非常に役立ちます。
.SV$ファイルの保存先:
通常は、システム変数SAVEFILEPATHで指定されたフォルダに保存されます。
初期設定では、ユーザーのTempフォルダ(%TEMP%)が指定されています。
オプション設定画面の「保存ファイルのパス」の項目で、保存先を確認または変更することができます。
SV$ ファイルの保存先は「保存ファイルのパス」欄のフォルダ
.SV$ファイルの場所を確認する方法
BricsCADの自動保存ファイル(.SV$ファイル)の保存場所は、通常、**%TEMP%**という環境変数で指定されたフォルダ(Tempフォルダ)です。
Tempフォルダを表示するには:
エクスプローラーを開きます。
アドレスバーに**%TEMP%**と入力してEnterキーを押します。
これで、Tempフォルダがすぐに開きます。
%temp% フォルダの表示
Tempフォルダを開き、**「図面のファイル名_*.SV$」**という名前のファイルを探してください。
**「*」**の部分は、様々な文字が入ります。
ポイント:
拡張子を表示する設定にしておくと、.SV$ファイルを見つけやすくなります。
エクスプローラーの設定で、**「ファイル名拡張子を常に表示する」**にチェックを入れると、拡張子が表示されます。
この例では aaa_3805.SV$とDrawind1_7446.SV$ ファイルがあります。
SV$ファイルの復元手順
ファイルのコピー: 見つけたSV$ファイルを、安全な場所にコピーします。
拡張子の変更: コピーしたファイルの拡張子を.SV$から.dwgに変更します。
BricsCADで開く:
通常: BricsCADの「開く」コマンドで、変更した.dwgファイルを開きます。
修復: ファイルが破損している可能性がある場合は、BricsCADの「修復」コマンドを使って開く方が安全です。
修復コマンドはアプリケーションアイコンのメニュー内にあります。
復元した図面の確認
内容の確認: 復元された図面ファイルの内容に、欠損や異常がないか慎重に確認します。
問題がない場合: 問題がなければ、そのまま編集作業を続行できます。
保存
問題なし: 問題がなければ、図面を保存します。
SV$ファイルが開けない場合
DWGファイル: もしSV$ファイルから復元できなかった場合は、最後に保存したDWGファイルを開いてみましょう。
正常終了時の復旧
.BAKファイルからの復旧
.BAKファイルは、誤って上書き保存してしまった場合や、他の方法で復元できなかった場合の最後の手段です。
.BAKファイルとは?
図面を保存する際に自動的に作成されるバックアップファイルです。
図面ファイルと同じフォルダに、同じファイル名で拡張子が.bakのファイルとして保存されます。
.BAKファイルからの復旧手順
ファイル名の変更または移動:
同じ名前のDWGファイルがある場合: .BAKファイルの名前を変更するか、別のフォルダに移動します。
拡張子の変更: .BAKファイルの拡張子を.dwgに変更します。
BricsCADで開く: 変更したファイルをBricsCADで開きます。
ファイル名を変更しているところ
.dwl と .dwl2 ファイルについて
.dwl と .dwl2 ファイルは、CADソフトが図面を編集している間に自動的に作成される一時ファイルです。
目的: CADソフトが作業中に使用するもので、図面のバックアップ用ではありません。
生成されるタイミング: 図面を開いている間、常に生成されています。
削除されるタイミング: 通常は、図面を閉じたときに自動的に削除されます。
異常終了時: 異常終了した場合、削除されずに残ることがあります。
残った.dwl/.dwl2ファイルについて
影響: 残ったままになっていると、元の図面ファイルを開く際に問題が発生することがあります。
対処法: 図面ファイルを開いていない状態で、これらのファイルが残っている場合は、削除しても問題ありません。
.BAKファイルに関する注意点
.BAKファイルは、上書き保存時のみ作成されます。
初めて保存したファイルには、.BAKファイルは存在しません。
破損したファイルから作成された.BAKファイルも破損しています。
一度破損した図面を上書き保存すると、.BAKファイルも破損した状態になります。
.dwl/ .dwl2 ファイルの例
隠しファイル扱いなので Windows が初期設定の状態だと見えません
.BAKファイル作成とCADの動作
.BAKファイルの作成は、CADの動作に影響を与える可能性があります。
処理時間: .BAKファイルの作成は、ファイルのコピーと同じような処理なので、ファイルサイズが大きい場合や、PCの性能が低い場合、ネットワーク上のファイルを編集している場合などでは、CADの動作が遅くなったり、フリーズしたように感じる場合があります。
影響の度合い: 図面を頻繁に編集する場合よりも、主に図面を表示して確認するだけの作業が多い場合、この影響はより顕著になる可能性があります。
.BAKファイルの作成を停止する方法
CADのオプション設定で、「.BAKファイルを作成する」というチェックボックスをオフにすることで、.BAKファイルの作成を停止できます。これにより、上書き保存時の処理時間が短縮され、CADの動作がスムーズになります。
BAK ファイルを作成のチェックを外します。
.BAKファイルの作成設定は、ISAVEBAKシステム変数でも変更できます。オプション画面から設定するのが面倒な場合は、コマンドラインでISAVEBAKシステム変数を変更することで、.BAKファイルの作成設定を切り替えることができます。
コマンドラインからの変更 オフにするとバックアップファイルが作られなくなりますので、とうぜんファイルを復旧する手段が一つ減るという事になりますのでご注意ください。
.BAKファイルの保存場所を変更する方法
通常、.BAKファイルは図面ファイルと同じフォルダに保存されますが、Express Tools の機能を使うと、保存場所を別のフォルダに変更することができます。
方法:
コマンド: _movebak コマンドを使用します。
使い方: コマンドを実行後、.BAKファイルを保存したいフォルダを指定します。
バックアップ保存先変更(_movebak)コマンド
movebak コマンドで "C:¥temp" フォルダに保存場所を変更しているところ
"." の指定でもとの動作に戻ります。
Express Tools の _movebak コマンドを使って、.BAKファイルの保存場所を変更することで、以下のメリットが得られます。
・ネットワーク環境での作業効率アップ: ネットワーク上のファイルを頻繁に編集する際、.BAKファイルの保存時間が短縮され、作業効率が向上します。
・高速なストレージへの保存: SSDなど、高速なストレージに.BAKファイルを保存することで、保存時間を短縮し、CADの応答性を向上させることができます。